プロポリス propolis
プロポリスはミツバチが植物の花粉や樹木の樹皮などから採取した物質と、ミツバチの分泌物を混合させたもので、蜂ヤニとも呼ばれます。
ミツバチは自らが出す分泌物や集めた樹液、花粉などを巣の内外部に塗りつけ、巣を無菌状態に保ち、消毒するのです。
古代ローマや東欧諸国では、古くから消炎・鎮痛効果、抗菌効果などに優れた天然の抗生物質として民間伝承的に使用されてきました。
プロポリスは、ブラジルをはじめ、アルゼンチン、イギリス、イタリア、ウルグアイ、エジプト、オーストラリア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアなど、世界各国で採集されてきました。
日本においてもわずかですが、北海道から沖縄県まで幅広い地域で主に研究用として採集されているようです。
形状は暗褐色のワックス状で、近年はブラジルが生産地として主流を占めています。現在、日本で流通しているプロポリス製品はアルコールによる抽出法が大半を占めています。
●歴史
プロポリスの効能は古代ギリシャ、ローマ時代から広く知られており、アリストテレスは著書「動物誌」の中で、皮膚疾患、切り傷、感染症に効果があると記しています。
ヨーロッパでや南米では、火傷、ニキビ、イボ、帯状疱疹などの民間薬として古くから使用されてきました。
プロポリスが日本に登場するきっかけとなったのは1985年に名古屋で開催された国際養蜂会議だといわれています。
国際養蜂会議は養蜂産物の有用性についての情報交換の場として設けられたもので、第1回目は1897年のブリュッセルで開催され、その歴史は100年以上になります。
●働き
プロポリスに含まれる主な成分は、樹脂、ミツロウ、精油、花粉、フラボノイド類、有機酸、ビタミン・ミネラルなどです。40種類以上も含まれるフラボノイド類(色素成分)には、毛細血管を強化して動脈硬化を予防し、免疫力を高める作用があるといわれています。また、これまでに以下のような有用性が報告されてきました。
抗炎症・鎮痛作用、抗真菌作用、抗がん作用、抗ウィルス作用、抗酸化作用、肝保護作用、抗糖尿病作用、低放射線防御作用、抗喘息作用、毛細血管強化作用など。
1991年9月に開催された「第50回日本癌学会総会」で国立予防衛生研究所が、プロポリスからクロレダン系ジテルペンなど3つの抗がん物質を発見したと発表しました。これがきっかけとなり日本にプロポリスブームが到来しました。
その後も、エタノール抽出物からマクロファージ活性・抗菌性などの顕著な効果を発見がされるなど、日本での研究が盛んに行われるようになり、市場は現在も拡大しています。
現在、日本のプロポリス製品は主にブラジル産のプロポリスが原料として用いられ、アルコール、ミセル化、水といったエキス抽出法により製品化が行われています。
●費用その他
プロポリスの含有成分は、原産地の樹木やミツバチの種類によって微妙な差があるといわれています。原料としてミツバチが採取した樹木の種類が、抗菌・抗炎症作用や免疫力強化の成分を含むユーカリやポプラであるか、あるいは外傷や皮膚炎に効く成分を含む針葉樹かによってそれぞれのプロポリスの効能が異なると考えられています。
現在日本では健康食品・サプリメントとして多くの製品が販売されています。価格は比較的安価な製品もありますが、中には高額なものもあり、製品ごとの成分含有量や生産地などの情報収集が欠かせません。