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だいたいいりょうナビ / 代替医療とは現代医療を補完・代替する医療のことです。/ がん・糖尿病・アレルギーなどに対する世界各国の様々な代替医療や健康情報をお届けします。

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温泉療法とは

代替医療としての温泉 : 温泉療法

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温泉療法とは、地下の天然産物である温泉水、天然ガスや泥状物質などのほか、温泉地の気候要素も含めて医療や保養に利用することです。つまり、【温泉に入浴したり飲用することによって、体調を整え病気を治療する】という医学的見地にもとづいた代替医療のひとつです。 積極的に意識を持って温泉と関わり、その本当の素晴らしさを受け取って身体の不調を癒す行為といってもよいでしょう。

温泉そのものの有する温熱作用の他に、日常の雑踏やストレスから離れ、空気が澄んだ森林、河川や湖、浜辺、滝等に囲まれた温泉地に転地し、現地の食事や文化に触れることで精神的にリラックスできることも見逃せません。

温泉療法はこれまでの臨床成績から、慢性関節リウマチ、糖尿病、高血圧症、動脈硬化性血行障害、気管支喘息、気管支炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心身症、ストレス性疾患など多くの慢性疾患に対し、特に症状の改善に効果のあることが明らかにされています。また、一部の温泉では悪性腫瘍(がん)に対する治療効果もあるようです。

  • 温泉の歴史

  • 温泉療法の詳細

  • 温泉療法の実践方法

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温泉の歴史

人々は古くから温泉のもつ癒しの効果や保健作用を経験的に知っていて、さまざまな形で医療や保養に利用してきました。医学が未発達だった時代は温泉療法の存在は非常に大きく、そのため温泉も湯治や療養に用いられた公衆の医療施設だったのです。

日本に仏教が伝来したのは6世紀ころの飛鳥時代。仏教に関するさまざまな文化などが伝えられました。すると、それと平行して医療の技術や治療の知識も入ってくるようになります。

仏教においては、病を退けて福を招くものとして入浴が勧められ、僧侶が近くの温泉地を開拓したり、あるいは主宰となって湯治場を設けることも多くりました。そして、住民たちは病気や怪我が治ると温泉に対して感謝し、生命再生の水として温泉信仰が根付くようになります。やがて、温泉の神様として祀られる薬師如来は存在感を増していき、温泉寺も多数建立されるようになります。

また、平安時代には、当時編纂された「万葉集」にも多くの温泉地が登場します。神奈川県・湯河原温泉や長野県・上山田温泉など、東国地域の温泉もその時代から利用されていることが明らかになっています。

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さらに戦国時代の武田信玄や上杉謙信は、特に温泉の効能に目を付けていたといわれています。中でも武田信玄は自身が結核を患っていたため、自らの病気を治療する目的で、温泉に足繁く通っていました。また、自軍の兵士が負傷すると、いわゆる【信玄の隠し湯】で負傷兵の治療を行っていたとされています。他にも、真田幸村や楠木正成など、数多くの武将が温泉の効能を活用していたといわれます。当時の温泉は、傷ついた軍の兵力と忠誠心を回復する、いわば野戦病院だったのです。

また、豊臣秀吉は、戦火や大火にあった有馬温泉の復興に尽力しました。源泉を整備し、湯治場として再興させ、たびたび、北の政所(ねね)や千利休、家臣たちを引き連れて訪れていたということです。

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江戸時代

江戸時代になり、参勤交代制度によって各地域の街道が整備されます。すると、今まで地元の住人しか利用されなかった温泉は、往き来する人々によって活用さていくようになり、さまざまな温泉地が発展を遂げました。当時は、庶民によるお伊勢参りなどの寺社詣でと湯治旅のセットも流行したよう6月です。

また、藩主や城主がその治療効果に目を付け、藩湯として温泉地を占有したり、その一方で人々のために湯治場を開いたりもしました。また、この頃になると医学的に温泉療法を解析した者も現れます。中でも、本草学者だった貝原益軒は「益軒養生訓」において温泉に多くのページを割き、その効能を説いています。

近代

各温泉では温泉成分の解析が進み、ベルツの研究によって国際的に知られるようになった草津温泉は、再来日の際、温泉療養施設の建設を約束したほどである。それは現実のものとはならなかったが、もしベルツが再び来日すれば、世界的な温泉地になっていたとまで言われるほど、効能が高いものであったことを裏付けた。

豊富な温泉資源に恵まれた別府温泉では、1912年には陸軍病院が、1925年には海軍病院が開院し、温泉療法の実践が始まります。1931年には九州大学の温泉治療研究所(現在の九州大学病院別府病院)が設置され、温泉治療の研究が行われてきました。そして、世界中で温泉の心身に対する効能の研究は今日も続けられています。

 温泉療法の詳細

日本は世界一の温泉大国

日本には、源泉の数が27,000以上、宿泊施設のある温泉地が3,100以上あるという、世界一の温泉天国であり、わたしたち国民も大の温泉好きです。世界的を見回してみても、日本人ほど温泉と密接に関わってきた民族は他にいないでしょう。そして、50年くらい前までは温泉場に長期滞在して病気をいやし、心身を保養して仕事への活力を蓄える「湯治」という優れた習慣がありました。

現在では、温泉は主として観光や旅行のレジャー対象であり、医療面での効能が軽視されつつあります。しかし、だんだんと新しい予防医学的な意義が注目されるようになってきました。

最近では、特に積極的な疾病治療や健康づくりに必要な休養、運動、栄養の3要素と、自然環境(森林、海、高原、地形など)や社会環境(温泉の存在する土地の文化や伝統的行事、観光資源など)のもつ保健作用を組み合わせて総合的に活用することが強まってきています。

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バルネオセラピーとは

温泉療法は海外でも古くから存在し、バルネオセラピー Balneotherapy と呼ばれています。もともとはギリシャ語で 「入浴する」という意味の“バルネオ”と、“セラピー”(療法、治療法)が合わさってできた言葉です。ある期間温泉地に滞在し、温泉浴を繰り返すことが基本です。同時に、新しい気候環境の下で、各種の運動や代替医療、補完療法と組みあわされて実施されます。

例えば、水治療法、マッサージや温熱療法のような理学療法、温水プールでの水中運動、屋内外でのスポーツ、運動、森林浴、食事療法、鍼・灸、気功、アロマセラピー、ガーデニングセラピー、音楽療法など、その温泉保養地の特徴ある療法プログラムが加わります。

温泉療法が免疫力を向上させる

温泉療法では、療養者は一定の期間、温泉地に滞在して温泉浴、物理療法や食事療法などの治療刺激を反復して受けることになります。また、日常生活から一時的に離れて温泉地に転地するので、温泉地の新しい気候や環境に連続的にさらされることになります。 静かで空気の澄んだ温泉地での滞在は、心身のストレスが解放されるという効果があります。生体のさまざまな機能や免疫力は、これらの多くの療法が組み合わされた刺激が繰り返されて、活性化するのです。

療養地に滞在する間、生体内では、自律神経系、内分泌系、免疫系などが相互に関連しながら総合的に反応します。そして徐々にからだの諸機能が好転して、私たちが本来もっている自然治癒力が強化されるのです。このからだ全体に対する作用が、温泉療法の総合的生体調整作用といわれるものです。

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現代医療と自然療法としての温泉療法

薬物や手術療法で代表される現代医学の進歩をみると、温泉療法のような自然療法は、その役割終えつつあるという考えがあります。しかし、 現代医療と温泉療法はそれぞれの作用原理が根本的に異なるので、その優劣を競うものではなく、お互いに補い合うべきものです。

病院診療で行われる標準医療の薬物や手術療法、化学療法で見られる医療技術レベルや近代医学の研究には目覚しいものがあります。高度に発達した医療は、急性症状の治療やリハビリテーションで大きな役割を担っていて、私たちはその恩恵を受けていることに疑いはありません。

その現代医療の代表である萊物’手術療法は、病気や障害の原因となるものに直接的に働きかけて、この除去を志向するものといえます。たとえば、細菌感染に抗生剤を投与したり、悪性腫瘍(がん)を外科的に摘出するような場合です。また、義肢や人工臓器のように機能や器官を代用物で補充したり、置き換えするなどの対策がとられます。患者からみると、これらは受身の治療といえるでしょう。

しかし、多くのストレス関連性疾患、心身症、生体リズムの乱れによる機能障害やゆがみ、心身の疲労などに直接的に作用する薬物などはありません。

温泉療法では温泉浴や運動、気候や転地による心理効果などが、総合的にからだ全体に作用しますが、療法を受ける人は、自らこの療法に積極的に参加することが特徴です。からだ全体に、穏やかで悠々とした揺さぶり刺激が加わって、生体諸機能がより健康度の高い方向に向かうことになります。

このように現代医療と温泉療法は、その作用原理が基本的に異なるものであり、時と場合に応じて併用すべきものです。実際に、外科手術の前に温泉療法をすることにより、手術によるからだへの負荷が少なくなったり、術後に温泉プールで水中運動をすることにより冋復が早まり、入院期間が短縮される例などがみられます。

温泉療法の医学的見地からみた特色は次のようにいえるでしょう。薬物療法のような即効性はないが、容易で安全、しかも操り返し行うことができる、また副作用が少なく、QOL(生活の質)の向上がみられる、などです。

温泉療法の病気、症状への効果、適応症、禁忌症などについての現代医学的な研究、検証も注目されるようになっています。また、その成果も蓄積されており、近年は「根拠に基づく医療温泉療法(EBB)」についての国際的な研究組織の輪もできつつあります。

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代替医療から統合医療へ

温泉療法は、西洋医学中心の医療で対応できないようなストレス関連症状、生体リズムの歪みによって起こる症状や、安定化した慢性疾患、関節症や脊粗しょう症などの退行性病変の予防、また、QOLの改善などが主な対象となる療法です。即効性はありませんが、自然エネルギーを最大限に活用して、からだ全体に作用し、人間が本来もっている自然の治癒力を高めることが目的です。実際、この指標のひとつである血中ナチュラルキラ一細胞(NK細胞)の活性が高まることが証明されています。

アメリカでは、1990年代から国立衛生研究所(NIH)の補完・代替医療セン夕ーが、国家レベルで東洋医学、機能性食品、サプリメント、世界の伝統医療などの研究を行っています。日本でも最近、近代西洋医学と代替医療とを統合する「統合医療」の考えが注目されはじめてきました。

統合医療とは、患者を中心として、医師と患者の対話や協調を大切にし、多くの方法の中から一人ひとりの患者にとって最良の、いわゆるオーダーメイドの方法を選択するような医療です。温泉療法は、まさに統合医療を実施するのに最適な条件を持っています。

温泉療法の社会的意義

日本人、訪日外国人ともに温泉宿泊者数は毎年増加傾向にあります。旅行や遊興目的だけでなく、その根底には人々の健康志向、自然回帰志向の高まりを反映しているものでしょう。 ストレス社会、高齢化社会である現代生活において、心身のバランスがとれた健康生活を維持し、生活習慣病を予防・改善するためには、「温泉療法」という現代医学的に管理された代替医療が適しているのではないでしょうか。

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温泉療法の実践方法

短期の場合

1~2泊または、3~4泊の短期滞在療養の場合、客観的な治療効果への期待は薄いかもしれません。しかし、(1)精神安定、(2)気分転換、(3)睡眠不足解消、(4)疲労度解消などの、温泉療養効果を得ることが見込めます。以下は、症状別の入浴方法の例です。

  • ストレス解消 … ぬるめの湯で長湯をする。
  • 肥満予防 … 数分の高温浴を2~3回繰り返す。
  • 慢性消化器病 … 飲泉と入浴。
  • 慢性婦人病 … 熱い湯なら5分、ぬるい湯なら約15分の入浴。
  • 慢性便秘 … 湯に浸ってから浴槽内で腹部のマッサージをする。
  • 腰痛・関節痛 … ぬるめの湯に浸り軽く患部を動かす。
  • 冷え性 … ぬるめの湯に半身浴で長めに入浴。

効果については個人差がありますが、これは非日常への移動(転地効果)と、温泉入浴(精神的効果)という行為によるものが大きいと考えられます。

中・長期の場合

中・長期療養では、一般的に7日以上~数ヶ月の滞在療養を指します。

短期滞在型時同様の入浴方法の実践を行いますが、3日目以降は入浴回数を最大3回までに増やし、温泉浴する時間帯を朝・昼・晩の3回とします。また、実施前に温泉療法医などによる健康診断及び健康相談を行うことも効果的です。

これにより、滞在前後の温泉療養効果を医学的、客観的に判定することが可能となり、個人の体調、健康状況に応じた個別「健康づくりプログラム」の実践ができます。

部分浴

足湯・・・15分

温泉街を散策する前などに実施すると有効です。足湯に入ることにより、疲労物質である「乳酸」の蓄積を抑える効果があります。移動中や移動後も、負担のかかった筋肉を温熱によりほぐす効果があります。しかし、過度の筋肉痛の場合は利用は適さないので注意しましょう。

全身浴

短期間で温泉成分の効能を得ることは難しいかもしれませんが、温浴による主観的な効果は短期滞在でも可能です。 ここでは、特に精神的な改善が可能な温泉入浴法を解説します。

1.掛かり湯(約30杯)

温泉入浴の最初に行います。

心臓より遠い位置(つま先、腕など)から温泉を掛け始め、最後は頭髪、頭皮に掛けます。 この行為は、温泉の温度確認、皮膚への感触確認となります。

また、現在大きな問題となっている「レジオネラ菌」の浴槽内への持ち込み防止につながるため、必ず実行しましょう。 (髪を濡らすことが出来ない場合は、シャワーキャップなどをして湯船に入ると良いでしょう)

2.半身浴(約10分)

湯船の淵の段差などを利用して、上半身を出した形での入浴法です。

肩まで入浴すると、およそ500㎏の水圧が体にかかり、体内の血液循環が活発になる前に体の表皮が熱の刺激を受けます。結果、充分な保温効果が得られる前に湯から上がってしまうことになり、湯冷めの原因にもなります。

一方、半身浴の場合は、水圧による負担が少ないので長時間の入浴が可能となります。脚部の末梢血管等も充分暖められ血管も膨張し、血流が良くなります。心臓から送り出された血液が温められ、心臓に戻ることになるのです。

血液は約1分で体内を一巡します。約10分の半身浴により、血管の充分な膨張による血流量の増加、血液温度の上昇による活動の活発化が期待でき、冷え性の改善に効果があります。

3.浮き身浴(運動浴と併用して約15分)

浮き身浴とは、湯船の淵に頭を乗せ、体全体を浴槽内に伸ばした状態での入浴法です。

浮き身になることにより、心臓に対する負担を軽減すると共に、日常生活での狭い浴槽から開放された精神的なリラックス感を体験することができます。

またこの時、水圧による抵抗と浮力による負担軽減を上手に利用した運動浴(脚部の開閉運動による筋力強化、腕を動かすことによる各関節の運動など)が可能です。

4.運動浴(浮き身浴と併用して約15分)

運動浴は、温泉の水圧、抵抗を利用した運動をしながらの入浴法です。

歩行浴、腕、肩、腰、足の運動浴があり、いずれの運動浴も日常生活で使用頻度の少ない部位を意識的に動かします。これにより、温まった血液を末梢血管まで送り、収縮していた筋肉を伸ばします。

※入浴により体内の水分は少なくなるので、入浴後は水分補給を十分に行ってください。

入浴時間と回数

1~4までを行うと、約30分の入浴時間となります。うっすら額に汗が出る程度を目安として入浴することが望ましく、場合によっては途中で休憩を入れることが必要です。 入浴回数は、初日は1~2回を目安にして行い、徐々に入浴回数を増やすようにしましょう。ただし上限は1日3回までです。

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